あなたは投扇興(とうせんきょう)って知っていますか?
投扇興は文字通り扇(おうぎ)を投げる遊びなんです。
普段はあまり扇を使うことはないので、投扇興をやる機会は少ないと思います。
ですが扇を使った遊びがあったなんて何とも風流ですよね。
投扇興は、道具があれば技術がなくても誰でも簡単にできる遊びなんです。
そこでここでは、投扇興のルールや遊び方についてまとめたいと思います。
この記事は、
・投扇興に興味がある人
・上品な遊びをしたい人
・室内でできるゲームをしたい人
に宛てています。
これを読めば、投扇興について詳しく知ることができると思います。
投扇興はとても奥が深い遊びなので、その遊び方を知っていればあなたの品格も上がると思いますよ!
投扇興を楽しむために必要なものは?
投扇興を楽しむためには、次の3つが必要です。
・扇(おうぎ)…投扇興では扇を的に向かって投げます。
・蝶(ちょう)…倒したり落としたりする的のことです。
・枕(まくら)…蝶を乗せる台のことです。
投扇興は扇を投げて蝶に当てて、扇、蝶、枕でできる形を点数にして競う遊びです。
的となる蝶は不安定な形をしているので倒れやすく、また投げる扇もなかなかまっすぐに飛ばないため、これらの織り成す形にはたくさんの種類が見られます。
扇、蝶、枕の織り成す形のうち、よく見るものについては点数が低く、めったに見られない形ほど点数が高くなっているのです。
かっこよく投げたい!投扇興の投げ方は?
投扇興では扇を投げるのですが、普段扇を投げる機会というのはほとんどないですよね。
扇を持っている人自体、あまりいないと思います。
なんとなく扇って聞くと、高級なイメージがあって一般人は持てないのではないかなと思うかもしれませんが、実は扇は100円ショップでも売ってるものなんですよね。
扇は、は今で誰でも買えるものなんです。
お正月に投扇興をするときなんかは着物を着ている場合もありますが、投扇興で扇を投げるときは正座で行うのが正式なルールです。
そして扇を投げるときは扇を開いて、扇の要(かなめ)の部分を持ちます。
投げるときはお尻が浮かないように上体を近づけましょう。
投げる距離はできるだけ上体を近づけた方が狙いをつけやすくなります。
扇はその形状からまっすぐには飛ばず空中でくるっと、半回転します。
ですのでその扇の動きを予想して投げ出す位置を探ってください。
投げ出す位置が低すぎると枕に当たって「コツリ」でー1点に、また投げだす位置が高すぎると蝶に当たらず「手習い(てならい)」で無点になってしまいます。
うまく扇が蝶にジャストミートする位置を見つけてくださいね。
誰でも簡単にできる!投扇興のルールとは?
ルールは流派によって多少変わるのですが、台から1~2mほど離れて正座します。
そして対戦者と交互に扇を投げていって、それぞれ10回ずつ投げます。
それで最終的に点数の高い人が勝ちとなります。
基本的に1本ずつ投げるので、扇はひとつあれば十分です。
実際にやってみましょう
扇を投げるときですが、お尻を上げてはいけません。
背筋をピンとして正座を崩さないように投げましょう。
最初のうちは扇が前に飛びません。
扇をうまく飛ばすには扇を投げるときに指先で扇を押し出して、空気の上に乗せるイメージです。
力を入れすぎると扇はうまく飛ばず、枕にあたってしもうことがあります。
扇が蝶ではなく枕に当たってしまったときは「コツリ」といって減点になります。
投扇興では狙うのは蝶です。蝶にいかに美しく落とすかが勝負となります。
また、投扇興にはたくさんの「銘(めい)」といわれる技の名前があって、扇と蝶と枕の位置や倒れ方で点数がいろいろ決められているのです。
初心者におすすめの狙いやすい銘はコレだ!3選
54種類もある銘のなかでは、1点のものから8点のものなど様々で、なかには50点以上の点数のものもあります。
点数の高い銘は慣れている上級者でも出すのが難しいので、初心者が出すにはほとんど運まかせになってしまいます。
投扇興は点数を競うゲームですので点数を取らないことには勝てませんから、できるだけ「マイナス点」や「無点」を避けて、点数を稼いでいく必要があります。
初心者が狙いやすい銘は次の3種類です。
・「花散里(はなちるさと)」1点…扇と蝶がどちらも地に落ちた状態。
・「末摘花(すえつむはな)」2点…扇と蝶がどちらも地に落ちて一直線に並ぶ。
・「夕霧(ゆうぎり)」8点…落ちた蝶がうまい具合に扇の下に隠れる。
このように銘にはすべて名前がついています。
この3つは点数こそ低いものの、扇を蝶に当てさえすれば加点になるので、狙いやすい銘といえます。
花散里(はなちるさと)・末摘花(すえつむはな)を狙うポイント
花散里と末摘花は、扇と蝶がどちらも地に落ちた状態で、末摘花の方はその中でも落ちた扇と蝶と枕が一直線に並んだ状態です。
つまり扇で蝶を落とすことができれば、少なくとも花散里で1点、ラッキーなら末摘花で2点となるんですね。
この2つはどちらも基本的な銘で出やすいものなので、覚えておきましょうね。
夕霧(ゆうぎり)を狙うポイント
そして夕霧は、落ちた蝶がうまい具合に扇に隠れる形になった状態です。
蝶に扇が当たって一緒に落ちていくとうまく重なるときがあるんですね。
ちなみに蝶と扇が一緒に落ちていって、扇の上に蝶が乗ることがあります。
そのときは「夕顔(ゆうがお)」となって、こちらも8点です。
これら花散里、末摘花、夕霧はどれも蝶を落とさないといけません。
なので、しっかりと扇を蝶に当てるようにすることが大事です。
出れば一発逆転?!点数の高い銘はコレだ!3選
狙って出せるかどうか別として、出たらラッキーな点数の高い銘をご紹介しますね。
・「早蕨(さわらび)」14点…「花散里」の、地に落ちた蝶が立ったバージョン。
・「澪標(みおつくし)」55点…扇が枕の上に乗る。
・「桐壺(きりつぼ)」75点…「澪標」の、蝶が立ったバージョン。
これらの形は高得点の銘の中でも、比較的出やすいものとなっております。
といってもめったに出ませんけどね。
これらの銘が出ればどんなに負けていても、大逆転できること間違いなしですね!
早蕨(さわらび)を狙うポイント
先ほど初心者におすすめの銘として、「花散里」を紹介しましたね。
花散里は、扇を蝶に当てて両方とも地に落ちた状態でしたよね。
このとき落ちた蝶が立つと早蕨になります。
つまり花散里の特別な形が早蕨というわけですね。
ですから花散里を何回も出していけば、そのうち早蕨も出るというわけです。
この早蕨に限らず、ほかの銘でも落ちた蝶が立つと高得点になります。
なかなか落ちた蝶が立つという偶然はないですからね。
早蕨を狙うポイントは、どれだけ数多くコンスタントに花散里を出せるかにかかっています。
ちなみに、「末摘花」の場合にその落ちた蝶が立つと、「東屋(あずまや)」となって15点となります。
こちらもやはり高得点ですね。
澪標(みおつくし)・桐壺(きりつぼ)を狙うポイント
澪標は、投げた扇が枕の上にのることです。点数は55点と非常に高得点になっています。
ですが高得点の銘の中では、澪標は出しやすい銘の一つだと思います。
枕の面積は9×9cmなので狭いですが、ちょうど扇が一枚乗るスペースです。
もし相手との点数が開いてしまったときは、イチかバチか狙ってみるといいと思いますよ。
そして桐壺は、投げた扇が枕の上に乗ってさらに落ちた蝶が立った状態のことです。
つまり澪標の特別なバージョンが桐壺になるわけですね。
めったに出ない銘ですが、出れば一発逆転の銘ですね。
投扇興の銘の一覧は、投扇興銘定表で確認してください。
最高得点の「夢浮橋(ゆめのうきはし)」とは?
投扇興で最高の点数は「夢浮橋(ゆめのうきはし)」となります。その点数はなんと、100点です。
これは蝶と枕を扇が橋渡しをしている形です。
夢浮橋という名前の通り、夢のような銘ですね。
夢浮橋が出たという話は今まで一度も聞いたことがないですが、いつかは見てみたい銘ですね。
まとめ
ここでは、投扇興についてまとめてみました。
投扇興は扇を投げて蝶を落とすだけですので、簡単で誰でもできる遊びです。
なので道具があればいつでも楽しめると思います。
銘の種類もたくさんあるので、どんな名前の銘があるのか見てみるのも面白いですよ。
またこちらの記事では手作りの投扇興などを紹介していますので、興味のある方はどうぞ。